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横浜地方裁判所 昭和61年(ワ)1258号 判決 1986年7月09日

原告

三田康史

右訴訟代理人弁護士

松本義信

被告

石川三雄

主文

一  別紙物件目録記載の不動産に関する横浜地方裁判所昭和五八年(ケ)第一〇一四号競売事件において、原告が金一六四万六五一六円の配当金の交付請求権を有することを確認する。

二  訴訟の総費用は被告の負担とする。

事実及び理由

一原告は、主文と同旨の判決を求め、次のとおり請求の原因を述べた。

1  原告は、昭和五八年三月二日、被告に対し金三〇〇万円を弁済期同年六月二日の約定で貸し渡すとともに、右債権を担保するため、被告との間において、被告所有の別紙物件目録記載の不動産(以下「本件不動産」という。)につき、抵当権設定契約を締結し、これに基づいて同年三月四日付で抵当権設定仮登記を経由した。

2  本件不動産は横浜地方裁判所昭和五八年(ケ)第一〇一四号競売事件として競売に付されたが、右貸付金債権のうち原告が被告から返済を受けたのは金一二一万四〇〇〇円にすぎず、残金一七八万六〇〇〇円は支払を受けていなかつたので、原告は右競売事件において債権の原因及び額を記載した書面を提出して配当要求をしたところ、原告に対し、金一六四万六五一六円の配当金が交付されることになつた。

3  しかるに、原告は本件不動産について前記仮登記しか経由していなかつたため、原告に対する前記配当金は供託されたが、本件不動産の競売により原告の前記仮登記は抹消され、右仮登記に基づく本登記手続をすることができなくなつたので、原告は抵当権者として受くべき前記供託にかかる配当金の交付を受けることができない。

4  よつて、原告は、前記供託にかかる配当金の交付を受けるため、原告が金一六四万六五一六円の配当金交付請求権を有することの確認を求める。

二被告は、適式の呼出を受けながら、本件口頭弁論期日に出頭しないし、答弁書その他の準備書面も提出しないから、請求原因事実を明らかに争わないものと認め、これを自白したものとみなす。

三右の事実によれば、原告の請求は理由がある(なお、原告にとつては、前記配当金の交付を受けるためには本件確認請求訴訟を提起する必要があるのみならず、原告の法律上の地位の不安状態を除去するためには、被告が右請求権を争うか否かにかかわらず、本件確認請求訴訟が最も直接的な手段であるから、被告が右のとおり右請求権を争つていなくても、なお本訴は確認の利益がある。)からこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官古館清吾 裁判官岡光民雄 裁判官竹田光広)

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